2016年3月27日日曜日

イノベーション的発想を組み込む / How to create an innovative idea?



濱口秀司さんは、かつてUSBフラッシュメモリの開発などを進めた、先進的なアイデアの持ち主です。twitterの発言などを参照していると、機智に富む発想のヒントがたくさんあり、勉強させていただいています。
creative thinkerという肩書きがかっこいい^^

ハーバードビジネスレビューの最新号(20164月号)に、彼のまとまった文章が載るというので購入。イノベーションをどう生み出すか、ということについてページを割いて説明されています。






中でも、「専門家が陥りがちなバイアス」を探すという点に共感します。バイアスを探すため、まず専門家の思考フレームを把握し、そのフレームワークからバイアスを見つける方針を紹介していますが、実に実用的な思考方法だと思います。バイアスを破壊するアイデアを探し、そこにニーズがあれば、それは社会を変えるイノベーションとなりうるでしょう。



A-Bの延長線上にあるCではなく、そのバイアスを外れたDを生み出すことが重要です。

アイデアは、

1) 聞いたことがないもの
2) 実行可能なもの
3) 議論を生むもの(一定の批判が出るもの)

を満たすものであることが重要と説明されています。加えるとすれば、

4) 基盤/標準となりうるもの

という点も、アイデアの重要性を評価する軸として大事だと思います。


これらの指摘は、自分のこれまでの仕事と照らしわせても実感できるものです。


マウスの遺伝学的実験を高速化しようというプロジェクトを進めたことがあります。自分は元々マウス遺伝学を学んできた人間(専門家)でしたので、「遺伝子改変マウスは交配させて作出・維持するもの」(バイアス)という考えしか持っていなかったのですが、多数の改変マウスを短期間で作る枠組みをつくりたい(ニーズ)となった時、交配を介さないでES細胞/受精卵から直接解析個体を作るというアイデアを実現させる取り組みを始めました。

そのような方法で遺伝子改変マウスの実験を進めているラボは今でもほとんどないと思いますが、そういう目で調べてみると意外に要素技術があるもので(実行可能)、実際に毎週数系統の遺伝子改変マウスが恒常的に作られ、数ヶ月のオーダーで解析が回る体制が最終的に動くようになりました。

このようなスキームは、今後標準的なものになっていくだろうと自分たちは考えています。



2016年3月19日土曜日

細胞内カルシウムと睡眠 Intracellular calcium and sleep



細胞内カルシウム濃度を制御するチャネルやポンプが睡眠の長さを決めるということ(睡眠制御遺伝子であること)を提唱した論文が出ました。睡眠の本質があぶり出されつつあると感じます。

Tatsuki F, Sunagawa GA, Shi S, Susaki EA, Yukinaga H, Perrin D, Sumiyama K, Ukai-Tadenuma M, Fujishima H, Ohno R, Tone D, Ode KL, Matsumoto K, Ueda HR. 
Involvement of Ca2+-dependent hyperpolarization in sleep duration in mammals. 
Neuron 2016 AOP  doi: 10.1016/j.neuron.2016.02.032.

プレスリリースはこちら

This paper proposed the idea that intracellular calcium is involved in animal's sleep time, which may be the essential of this biological function.

Press release in English

「平均的ニューロンモデル」を作成し、睡眠時・覚醒時の神経活動の状態をシミュレーションしました。シミュレーターに組み込まれた分子群を仮想ノックアウトしていくと、上記の分子群が睡眠制御遺伝子候補として引っかかってきました。

だいたいこういう遺伝子は「似た者」がいくつかあるのが通常です。そこで、最近話題のCRISPR技術を使って片っ端からファミリー分子のノックアウトマウスを作製し、表現型解析を行いました。
さらに、胎生致死になってしまう遺伝子については、阻害剤の投与で薬理学的に検証。細胞内カルシウムの流入を抑えると、脳全体で神経活動がupregulateされる(つまり寝にくくなってしまう)ことを示しています。

このような大規模な解析を実現するため、近年開発された「個体レベルのシステム生物学」のための技術が活用されました。一世代でノックアウトマウスの作製が可能なTriple-CRISPRシステム [Sunagawa et al. Cell Reports 2016]、マウスを測定チャンバーに入れるだけで睡眠測定が可能なSSS [同上]、全脳スケールで神経細胞の活動をイメージングし解析するCUBIC [Susaki et al. Cell 2014] などです。これらの技術は既存法のスループットを1オーダー以上改善できるものばかりです。

The idea was examined by simulations of an averaged neuron model and following animal sleep analysis of KO mice of 21 genes (!) and a high throughput and non-invasive sleep analysis system. Upregulated neural activities by inhibiton of Ca channel were observed by whole-brain imaging. These technologies has been developed for 'organism-level systems biology' in mammal.

このような規模の研究は、これらの技術がより普及するにつれ、長期的には一般的なものになっていく可能性があります。

ちなみに、「カルシウムを摂れば不眠に効く!?」みたいな感想がちらほらありますが、これはちょっと違う話です ^^;


Reference :
Susaki EA et al. 
Whole-Brain Imaging with Single-Cell Resolution Using Chemical Cocktails and Computational Analysis. 
Cell 157, 726–739, 2014. 

Sunagawa GA et al.
Mammalian Reverse Genetics without Crossing Reveals Nr3a as a Short-Sleeper Gene.
Cell reports 14, 662-677, 2016.


2016年3月18日金曜日

組み替えでオン! Turning on by recombination



Creリコンビナーゼと認識配列であるloxPを組み合わせたシステムは、条件依存的な遺伝子発現のコントロール系として現在の生命科学研究に欠かせないツールとなっています。


認識配列にはバリアントがあって、これをうまく組み合わせると「遺伝子をひっくり返してスイッチオンする」というシステムが作れます(DIO: Double-floxed inverted ORFとか、FLEX: Flip excisionと呼ばれます)。



バリアント1つだと、挟まれている配列は順方向と逆方向を行ったり来たりしますが、




2つ組み合わせると、入れ替わった後に固定されます。
(2021.1.16 lox配列の表記ミスについて指摘がありましたので差し替えました)

これを考えた人は本当に頭がいいと思います。。。

元文献をたどっていくと、[Schnütgen, Nat Biotech 2003] に行き着きました。ここではloxPlox511が使われています。
しかし、これだけ普及している系の提唱論文なのに、引用は149しかない!(Google scholar調べ)。なんとも過小評価気味な。

どうやら当初はあまり評価されず、あまり長い遺伝子を組み込めないアデノ随伴ウイルス(AAV)システムに実装する際に「再発見」されたという経緯のようです。2007-2008年頃にneuroscienceの大御所の先生方が使われています[Atasoy, J Neurosci 2008; Cardin, Nature 2009]。ここではloxPlox2722が使用され、並べ方が2通りあるようです(それぞれをDIO/FLEXと呼んでいるようですが、この辺の区別はよくわかりません。。)

シンプルさとエレガントさが同居していて、自分が好きな系の一つです。


Reference :
A directional strategy for monitoring Cre-mediated recombination at the cellular level in the mouse.
Schnütgen et al. Nature Biotechnology 21, 562-565, 2003.

A FLEX Switch Targets Channelrhodopsin-2 to Multiple Cell Types for Imaging and Long-Range Circuit Mapping.
Atasoy et al. The Journal of Neuroscience, 28, 7025–7030, 2008.

Driving fast-spiking cells induces gamma rhythm and controls sensory responses.
Cardin et al. Nature 459, 663–667, 2009.




2016年3月16日水曜日

QPCRのトラブル、夏の幽霊? A trouble in QPCR by summer ghost?



昨年夏のある日、その前日まで動いていた定量PCR (QPCR) が突然動かなくなりました。定量値がテンプレート量と全く相関せず、melting curveを見るとピークが2本。シグナルが意味するところはつまるところコンタミネーション。
「まあ夏だし、こんなこともあるか」と気軽に考えてトラブルシューティングを始めるも、何をやっても回復せず。

結局夏が終わり、秋になっても回復せず。私の夏はQPCRのトラブルシューティングに消えました orz

最近になって、なぜか回復しています。変更したのはmixtureを準備する場所。部屋を変え、クリーンブースを置きました。複数の人が再現よく動かせているので、回復したものとみなしています。

場所の問題

とにかく、元の場所で何かを操作する(たとえば、ウェルプレートを取り出す、プライマーを分注する、試薬を開ける)ということをすると、そのロットはたちまちダメになっていたのです。部屋に大量のコンタミ物質が浮いているかのごとく。「夏の幽霊」の正体は結局わからずじまいです。ビルの空調か、はたまた部屋内でマウスを扱っていた影響か(ずいぶん広い部屋なのですが!)。

QPCRはもう10年以上動かしている系ですが、こんなトラブルは初めてでした。メーカーのサポートの方にもずいぶんお世話になりましたが、その方曰く「建物中の部屋でやってもダメで、外でやったら動いたことがありました。」はあ。

謎のコンタミにお困りの方、ご参考にされてください。


In my long career of QPCR experiments, I experienced the biggest trouble in the last summer. One day, suddenly, signal showed a severe contamination and the condition never recovered after numbers of troubleshooting (e.g., changing all the reagents and lot, washing and replacing micropipetter, etc.) among the summer. 
Recently, this comes to the end, apparently due to the reason that we changed the place for preparing the mixture: we moved the room, and set a clean booth with HEPA filter. 

It’s difficult to believe that this was the only reason, but I can’t help thinking the room air had some problems… maybe of the air flow with contamination throughout the building, or animal handling in the same room. But after all, I cannot find out the ‘summer ghost’ bringing the trouble I spent all the summer for. 



2016年3月14日月曜日

機械学習と生物画像処理  Processing biological images with machine learning




興味深い試みだと思います。想像するに、各画像の特徴量を機械学習で抽出してブレンドまたはフィルターさせてるのかと思います(魅せる絵に仕上がってるあたり、このあたりのアルゴリズムも興味深いですが)

Ostagram: blending two images after extracting their characteristics with machine learning. Pretty interesting!


特徴量を抽出し、画像データに意味を与えるプロセスは生物画像の解析でも重要です。例えば細胞がたくさん写っている生データから、「どれが細胞か」を検出させることは基本的な処理ですが、それでも論文を当たると結構なバリエーションがあります。
最近では機械学習を用いて検出させる方法も出てきています。
例えば、オープンソースの解析ツールilasticなどに実装されています。

ハーバード大学の内田先生たちのグループは、神経細胞のつながりをラベルした透明化脳のイメージングを行い、77個の3次元全脳データからラベルされた細胞を抽出して定量解析を行った試みを発表されています[Menegas, elife 2015]。この時細胞同定(セグメンテーション)に使われているのがilasticでした。

Softwares like "ilastic" utilize machine-learning for segmenting biological information in imaging data. In Menages et al., 77 rabies virus-labeled mouse brains were subjected to whole-brain 3D imaging and following image analysis with the software.

最初の例のような機械学習のパワフルさを見ていると、やはり自分の研究でもうまく使っていかなければならないという思いが強くなります。ドシロートですが、少し勉強を始めてみようと、教科書は買ってるのですが。



本棚の肥やしになる前に読まないとですね^^;

References:
Menages et al. 
Dopamine neurons projecting to the posterior striatum form an anatomically distinct subclass.
eLife 4: e10032, 2015.


2016年3月13日日曜日

その研究を始める前に(2) Criteria for starting the project



ずっと前にこんな記事も書いていますが、その後の経験や議論を踏まえてアップデートしてみました。
(今のラボに移る前ですね。目の前が見通せず、あれこれ悩んでいた時期でした。まあ今も変わりませんが。。。)

  1. Extension: 概念や技術が基盤となり、拡張性・将来性が見込めるか?
  2. Easiness: 概念や技術が容易に再現され広がりうるか?
  3. Replacement: 既存の概念や技術を刷新できるか?
  4. Competition: 他の概念、技術が代替しないか、あるいはより優れていないか?

アイデアにcommitするかどうかを決める目安として最近考えている4項目でした。



2016年3月12日土曜日

Innovationとイノベーション Contrast of "innovation" and 'Inobe-syon'



まあ、世の中の縮図と言いますか ^ ^;

最近では、阪大のCOIの話題もありました(リンク先PDF)。酷評も多いですが、いろいろなところに(真の)研究開発の意図を一生懸命詰め込んだアピールにも見えます。

どういうお題目であれ、研究者は内なるモチベーションに従って今日も大発見と大発明を目指すのです。タイムスケールの長さと複雑な因果関係に隠れがちですが、それこそ、世の中を変えてきた営みだと思います。


追記: 2016.3.17
とある学会でお役所・メーカーの方々がパネルディスカッションをしているのを聞いていましたが、「イノベーションとは(アカデミアの)成果の産業化である」と言ってました。まあ定義の問題ですから何でもいいんですが、僕が知ってるinnovationとはやっぱり違うなあと思いました。

透明化と超解像 Super resolution imaging with tissue clearing



組織の透明化には、1) 光散乱因子(主に脂質)の除去、2) 脱水と高屈折率試薬への置換(屈折率の均一化)、3) 色素の脱色(光散乱因子の除去)の3つの要素が重要です。特に2)は必須で、1) 3) だけでは透明にはなりません。また、1) 3)は高度な透明化の達成には重要ですが、一方で組織のintegrityへの影響(これも程度問題でなかなか議論が難しいですが)は相対的に大きくなります。

理化学研究所の今井先生たちが開発している透明化プロトコル’SeeDB’は、ほぼ屈折率調整のみの透明化手法で、組織のintegrityへの影響を極力抑えたものとなっています。2013年にフルクトースを主成分とする透明化試薬の報告[Ke et al, Nature Neuroscience 2013]をされていましたが、今日、新たにSeeDB2のリリースが発表されていました。

シナプスの微細構造まで鮮明に

-高屈折率の改良型透明化液で深部超解像イメージングを実現-



使用されているiohexolは、以前RIMS [Yang, Cell 2014] でも報告された屈折率調整剤(もともと造影剤)ですが、溶解バッファーにTris-EDATを採用し最適化を図っています。

また、透明化だけではなく、immersion oil, カバーガラス、サンプルを含む観察系マテリアルの屈折率を均一にし最適化しています。



100umという厚さで超解像イメージを撮像。スパインの構造まで鮮明に見えています。
超解像ミクロイメージングもvolume imageが容易に取れるようになってきそうです。

Reference: 
Ke et al. 
Super-Resolution Mapping of Neuronal Circuitry With an Index-Optimized Clearing Agent.
Cell Reports (2016). Published Online ahead of print 


Ke et al.
SeeDB: a simple and morphology-preserving optical clearing agent for neuronal circuit reconstruction
Nature Neuroscience 16, 1154–1161 (2013)

Yang et al. 
Single-cell phenotyping within transparent intact tissue through whole-body clearing.
Cell 158 945-958 (2014). 

過去の関連記事はコチラ


2016年3月11日金曜日

AlphaGoとヒトが進化する未来 / AlphaGo, hoping human's evolution by AI



GoogleAlpha Goが囲碁チャンピオンのイ・セドルさんに2連勝ということで、話題になっています。
(この方自体も常勝のめっちゃ強い人とか。。)


An exiting tweet by Dr. Demis Hassabis, Founder & CEO of DeepMind!

囲碁も機械学習も門外漢なので感想だけですが、歴史的な転換点にいることを感じます。
プロをしても感覚がまったく違う進め方だとか。
脳の一部の機能をpureにして昇華したとも言えるし、計算量を考えれば圧倒的にスケールアップしたとも言えるし、この時点ですでに別極の知性になっているかもしれない、とも思える。

機械学習、必須素養になりそうですね。




まったく同感です。AIが人を進化させる未来を期待させます。
AI will contribute to improving human's intelligence, by its unique thinking properties!

先日書いた記事とも関連しますが、定量的かつ出口がはっきりしている問題の条件探索はもう人工知能に任せた方が良さそう。むしろ、これまで定性的で人間でないと無理、と思われていた問題はどんどん定量化され、「人工知能向け」の問題に切り替えられていくこともありえそうです。


2016.3.20 追記
ニューラルネットは電気回路にハードで書き込んだ方がいいんじゃないかと素人ながらに思ったので少し調べてみると、やはりホットな研究領域になっていました。DLチップなんてモノはそのうちたくさん出てくるのでは。個人的にはFPGAを使う試みは興味深いと思います。

【 先行事例調査 】ディープ・ラーニング 計算を、FPGA 専用アクセレレータ 上で 超高速に行う試み~Qiita

Artificial Neural Network LSI の設計法 (PDF)
森江 隆 (九州工業大学大学院生命体工学研究科)

2016年3月8日火曜日

Eメール開発者、逝く / The death of e-mail's father



R.I.P.
不勉強にして知らない人だったが、間違いなく私たちの世界を変えた人の一人だろう。




2016年3月7日月曜日

ITは熟練の夢を見るか Dream of IT replacing veteran researchers

クルマ開発、手仕事の先へ 熟練の成功例を数式で一般化(朝日新聞デジタル)


成功例のビッグデータから有用パラメーターを検出→シミュレーションで検証、という流れか。

The article (link) introduced Honda’s trial to reduce veteran engineer and shift to use big-data analysis and simulation.

このような流れは当然医学分野でも起こりつつあり、例えば創薬で、小分子-レセプター結合を構造からシミュレーションして可能性の高い組み合わせを選んでいく、さらには薬効や副作用を探していく、みたいなことができつつある。
ちょうど読んでいた文献で良い例があった [苅谷ら、2016; Amemiya et al. 2015]。このstudyの例では、Sunitinibの副作用の要因について、疎外対象分子とその下流での代謝の動きを代謝経路シミュレーションに入れて導き、酸化・還元型グルタチオン比の減少により肝臓などの臓器障害が引き起こされていることを発見している。

このように、シミュレーション可能なレベルまで情報が蓄積されていれば、重要なパラメーターを大規模に探索し絞り込んでいくような方向性は今後ますます有用とされていくだろう。生物の場合でも、システムとしての生体・生命がもっと正確に理解されシミュレーションの対象となれば、このような流れに進むだろう。もちろん、「なまもの」としてのマテリアルの扱いにくさの問題があるが。

These parameter search from big data to solid simulation will expand not only the engineering but medical science and biology. For example, similar scheme has been used in pharmacological studies, where the responsible metabolic profiles of drug’s side effects were found by metabolic network simulation [Amemiya et al. 2015].

一方で、現時点で多くの開発現場が完全なIT化を利用できるものでもなかろうから、長短のタイムスケールをうまく埋めあわせる必要があるだろう。試行錯誤は「熟練」が必要な部分であり、すぐにニーズがなくなるわけではない。

「熟練」が持つ試行錯誤のスキルが、どの程度このようなアプローチでカバーされていくか?結局はパラメーターサーチと学習プロセスの組み合わせであるから、将来自動化されていく期待もある。工学系は速いだろう。生物実験は??

研究者・開発者個人としては、経験に頼りがちなマインドを「網羅的パラメーターサーチ」にシフトさせる必要性を感じている。

However, well-trained veteran engineer/researchers has a high skill of try-and-error, which needs to develop a novel protocol or device. I think even such skills will be eventually replaced by the IT scheme because they are the combination of parameter search and learning, while there is a time-scale gap between introducing the IT scheme and utilizing the people’s skills. 


References:
苅谷 嘉顕、本間 雅、鈴木 洋史
システム薬理学的アプローチによる薬物副作用メカニズム解析および副作用予測に向けて
日本薬理学雑誌 147: 89-94, 2016

Takahiro Amemiya, Masashi Honma, Yoshiaki Kariya, Samik Ghosh, Hiroaki Kitano, Yoshihisa Kurachi, Ken-ichi Fujita, Yasutsuna Sasaki, Yukio Homma, Darrel R Abernethy, Haruki Kume & Hiroshi Suzuki
npj Systems Biology and Applications 1, Article number: 15005 (2015)
doi:10.1038/npjsba.2015.5

2016年3月6日日曜日

ダビンチの手稿をカバーしたノート / Notebook with Da Vinti's memo

一目惚れして買いました。たまーにこういうアイテムに出くわす。






















カバーはアトランティコ手稿から拾ってきているようです。So cool!

薄くて中身は無地なのがいい。アイデアを展開するには無地か薄いマス目のノートが一番です。

グラフで遊ぶ


#一番気持ち悪いグラフ作ったやつが優勝 on twitter

おお、と思った方の作品を幾つか。気持ち悪いというか、ある種の芸術性を感じるけど。




こういうので遊べる人たちっていいなーと思う。数学をしっかり続けとけばよかったなあ。 #今からやれ

2016年3月5日土曜日

トップランナーの必要条件 / Rules of being the cutting-edge

最先端を走り続けるには何が必要か?革新を生むことはもちろんだが、変化していくことも重要。

下記ウェブサイトにヒントが。

成功事業が一夜にして衰退に転じる時代の生き延び方
(ダイヤモンド・オンライン)
”シャークフィンの第3段階「ビッグクランチ」フェーズには三つのルールがある。「市場の飽和に先んじる」「負債化する前に資産を処分する」「リードしているあいだに撤退する」だ。” (同サイトより) 
ここでの「シャークフィン(サメのヒレ)」は、市場が一気に飽和し、コモディティ化ののちに急激にシェアを衰退させていく様子を表現している。

Not only producing an innovation, changing the strategy and direction is also important. At the point that you lose your advantage, reminding three rules may help you: precede the shrink of market, close the strategy before it being debt, withdraw from the direction while you still lead the market.



デザインとサイエンスが織り成すダイナミクス / Dynamics in mixing design & science

ELEGANT CELL展を見てきました。



山中俊治先生はデザインの骨格で初めて知ったのだけれど、suica改札機のプロダクトデザインなどで有名なデザイナー。端正な文章でデザインの本質を語る姿勢にいたく感銘を受けて、今でも時々読み返してる。
片や竹内昌治先生は微細流路系加工やマテリアルサイエンスの世界で超有名な研究者の1人。
この2人がコラボして生み出す世界が面白くないはずがない。
たまたま駒場に仕事で行ったので、ちょっと覗いてみることにした。


工学でも生物学でもない、不思議空間。




コラーゲンの足場で作ったヒトガタに、細胞を貼り付ける。細胞が成長するにつれ、ヒトガタはそれぞれ違った形に捻じ曲げられて個性を獲得する。


山中先生デザインのCO2インキュベーター。超クール!



基礎科学、応用の範疇とまた別極、表現としての面白さをシンプルに楽しめた。
デザインによるサイエンスの拡張、サイエンスによるデザインの拡張。展示物が見せているのはまさにそのダイナミックな現場かな。



ポストカードもらってきた^ ^

2016年3月4日金曜日

組織透明化とイメージングによる個体レベルのシステム生物学 / Tissue clearing & imaging for organism-level systems biology

表題についてのレビューを上梓しました。多分これまで出版されたまとめの中で、一番網羅的でフェアに(実データに基づいて)議論していると思います。

We published a comprehensive review for the organism-level systems biology by tissue clearing and imaging.

Reference:
Whole-body and Whole-Organ Clearing and Imaging Techniques with Single-Cell Resolution: Toward Organism-Level Systems Biology in Mammals
Etsuo A. Susaki, Hiroki R. Ueda
Cell Chemical Biology 23: 137-157, 2016.
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.chembiol.2015.11.009