2008年4月5日土曜日

研究者に必要なツールとスキル

 最近パソコンを入れ替えた。これまでメインで使っていたデスクトップパソコンはもう丸6年も使ったやつで、トラブルひとつなく働いてくれたいいコだったのだが、最近のソフトは動作が重たいものも多く、また周辺デバイスへの対応も遅れていた(なにせUSB1.0しかついていないし、光学ドライブもDVDではなくCD-ROMである)。ほとんど骨董品である。ビスタも発売後時間がたって、ソフト・ハード両面でサポートが整ってきたようだし、ウイルス対策ソフトの更新もあるしで、思い切って買い換えたのだ。今度のやつはスペックが相当高く、ビスタがサクサク動く。実に快適である。と思っていたら、前から調子が悪かったノートパソコンのほうもいよいよやばくなって、OSが立ち上がらない症状がしばしば現れ始めた。お財布には優しくないが、ノートも思い切って買い換えることにした。セットアップとシステムの移管が2台分重なって、かな~り大変だった(ブログ更新が遅れた言い訳です。。。)。

 研究者にとってパソコンは今や必需品である。ワードやエクセル、パワーポイントなどは当たり前、フォトショップ、イラストレーターなどのお絵かき系ソフトも使いこなせてナンボのものだ。研究成果を発表することは研究者にとって大事な仕事の一つで、モデル図やデータ、グラフなどを如何に魅力的かつ分かりやすく提示できるかがプレセンの大きな要素を占める。その意味で、美術的才能というのが実際のところかなり要求される。また、文献(論文)はほとんどすべてPDFでダウンロードするから、PDF関連ソフト・ハードも重要である。ラボには現在ドキュメントリーダーが設置され、あらゆる書類を電子化する体制が整っている。文献整理、論文での引用にはEndnoteのような専用ソフトを使用する。

 人によっては音楽などを聞きながら実験している人も多い。特にiPODをはじめとしたデジタルプレーヤーが普及したおかげで、最近入ってくる学生さんたちは結構そういう人が多い。私個人は、もっぱら英語の学習用としてプレーヤーを使用している。先のブログで述べたノイズキャンセリングヘッドホンは、そういう意味で大変貴重である。センター試験じゃないが、クリアに音声が聞こえないとリスニングが難しい。移動中ならなおさらである。

 英語といえば研究者にとって必須のスキル。サイエンスの共通語だからあたりまえで、博士の学生ともなればペラペラで当然でしょう、というのが私の持論なのだが、現実はさにあらず。日本が誇る国立大学の学生といえども、ある日突然「今度の学会、英語発表ね」と言われて必死で丸暗記し、外国人から質問を受けるとその場でフリーズ・・・なんてのは、悲しいほどによく見る風景である。私個人は結構必死で勉強した甲斐があって、外国人の研究者ともさほどトラブルなく意思疎通ができるくらいの会話能力を身につけることができている、と思っている(それでも口頭発表となればやはりかなりのストレスである)。英語を独学で行うなら、単語や定型文の暗記、文法に加えて、とにかくリスニングとシャドウイングを行うことがとても有効だ。しゃべれないのはoutputしないからであって、outputをする機会をとにかく持つことである。英会話教室ももちろん有効だが、手軽にいつでもできるのは、シャドウイングである。また単語や定型文の暗記には、受験生の必需品、単語帳が一番使い勝手がいい。白衣のポケットに入れておけば、例えば遠心機のスイッチを切って止まるまでの数十秒の時間を有効に利用できる。いずれにしても、偉くなっている人たちであまり英語が下手な人は見たことがないから、どこかでバイアスがかかっているはずである。振り落とされないためにも、ますます磨きをかける必要がある。しかし、周りに危機感が薄い人が多いのは、幸いなのか不幸なのか・・・

 単語帳と同じく、時間の有効活用に欠かせないのがクリップボードである。これはもはや「持ち運べるマイデスク」だ。私は歩きながら論文を読むことも多いが、クリップボードに乗せるととても読みやすくなる(そのまま持つとふにゃふにゃと紙が曲がって、歩くと文字が揺れて読みにくい)。ちょこちょことした移動時間だけで短い論文くらいなら読めてしまうから、ラボの中をうろちょろしている時間というのは一日の中で相当あるのだということを実感できる。

 他にも、私個人はアイデアを書き留める手帳やペン、視認性の良い腕時計など、仕事を効率的に進めるためのツールのいくつかを、こだわりを持って選択している。しかしこうして並べてみると、ビジネス誌の特集からそのまま抜き出したようにも見える。本当に共通項が多いものだと改めて感じる。