2010年2月27日土曜日

vGLUT3

グルタミン酸トランスポーターの一種である、vesicular glutamate transporter (vGLUT)のうち、vGLUT1,2は脳内に多く発現している(発現パターンは相補的でmutually exclusive)が、rapheにはどちらも出ていないことから、vGLUT3が発見された。rapheに高発現。ほか、内有毛細胞に高発現し、KOマウスはdeafness。また皮質と海馬のGABAergic basket cellの一部にも発現し、KOではnonconvulsive seizureが見られる(Seal et al. Neuron 57:263-275, 2008)。また、Low-threshold C繊維にも発現し、障害時のmechanical hypersensitivityにも必要(Seal et al. Nature 462:651-655, 2009)。
行動異常は??dataなし。

Figure 5

ac, anterior commissure; aq, aqueduct; BST, bed nucleus of stria terminalis; cc, corpus callosum; CA1, field CA1 of Ammon's horn; CA3, field CA3 of Ammon's horn;CBL, cerebellum; CM, central medial thalamic ncl.; CPu, caudate putamen; CTX, neocortex;DG, dentate gyrus; DR, dorsal raphe ncl.;GP, globus pallidus; LHA, lateral hypothalamic area; MnR, median raphe ncl.; NTS, nucleus of the solitary tract; Sp5, spinal ncl. of the trigeminal tract; SON, supraoptic ncl.; 3V, third ventricle;PVA, anterior periventricular thalamic ncl.; Rob, ncl. raphe obscurus; VP, ventral pallidum;VPM, medial ventroposterior thalamic ncl.; Xi, xiphoid thalamic ncl.

皮膚感覚路

●後索-内側毛帯路
皮膚への接触、振動、深部感覚経路。後索を上って延髄後索核(楔束核、薄束核←E4Bヘテロでやられるところ:体内で最も長い経路の為、軸索輸送が障害され軸索末端の変性が起きやすい;上肢からの線維は楔状束核,下肢からの線維は薄束核←ソース△、要確認)。後索核から交差。

●脊髄視床路
痛覚、温度感覚。後角でシナプスを変え、前方に向かって交差し、脊髄腹側を上行。



キーワード:ヒスタミン、ブラジキニン、プロスタグランジン、K+イオン、substance P
Aδ線維、C繊維(無髄)

Chen et al. Mol Cell, 36:417-430, 2009

Rhythmic PER Abundance Defines a Critical Nodal Point for Negative Feedback within the Circadian Clock Mechanism

Circadian rhythms in mammals are generated by a transcriptional negative feedback loop that is driven primarily by oscillations of PER and CRY, which inhibit their own transcriptional activators, CLOCK and BMAL1. Current models posit that CRY is the dominant repressor, while PER may play an accessory role. In this study, however, constitutive expression of PER, and not CRY1, severely disrupted the clock in fibroblasts and liver. Furthermore, constitutive expression of PER2 in the brain and SCN of transgenic mice caused a complete loss of behavioral circadian rhythms in a conditional and reversible manner. These results demonstrate that rhythmic levels of PER2, rather than CRY1, are critical for circadian oscillations in cells and in the intact organism. Our biochemical evidence supports an elegant mechanism for the disparity: PER2 directly and rhythmically binds to CLOCK:BMAL1, while CRY only interacts indirectly; PER2 bridges CRY and CLOCK:BMAL1 to drive the circadian negative feedback loop.

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Circadianのocillationには、CRYではなくPERのoscillationが必須、という内容。

●Per2Lucノックインマウスに、CMV-AdenoでPER1またはPER2を戻すと、リズムが完全に失われる(Fig1)。BMAL1プロモーターでPER2を過剰発現してもリズムが失われる(Fig6)。

●PERの過剰発現により、CRY1の発現量増加(Fig2)、PERとClockのリズムの喪失(Fig2)、Clock:BMAL1ダイマーの増加(Fig4)が観察される。

●Fig5でPERを”Scaffoliding Molecule”と表記、PERとCRYのinteractionがリズムに必須(Fig5)であることを示す。

●Scg2プロモーター(brain specificと記載※)-tTA x tetO-Per2のダブルTgマウスでは、Per2のドライブ依存的にリズムが失われる(reversible)(Fig7)。
※Fig7Bで、SCNに強発現、ほかの部位にもそれなりに発現していることをin situで示す。

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Fig7のマウスが利用できるかを検討。

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時計、少し勉強しないとなー。

2010年2月25日木曜日

「今日も狂ったように仕事したなぁ」

と言って帰宅の途に就くのが理想。

<仮説検証型の人は生産性が高い-
     圧倒的に生産性の高い人(サイエンティスト)の研究スタイル>

より、一部引用。

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アメリカで研究するようになって最も驚いたことの一つは、日本では考えられないほど生産性の高い研究者が存在することだ。

たとえば僕がローテーションして、最後までそこでdissertation work(博士論文のための研究、活動)をすることにするか迷っていたあるラボ。そこはポスドク、テクニシャンを含めて(註:undergraduate=学部生は殆どアメリカの研究室には居ない)たった5人でやっているにもかかわらず、毎年5-6本ぐらいはペーパーを出し、ほぼ全て一流紙。多いときは年に2本ネイチャーに出し,一本は表紙になったりしていた(#)。

しかも良く日本では見かける深夜も土日も働いて、朝はどちらかというと崩れ気味、みたいな重労働系の生活ではなく、普通に朝来て、「うーん今日は狂ったように仕事をしたな」とかいって七時半ぐらいに帰る。遅くても9時ぐらいかな。週末は飼っている細胞にえさをやりに来たり、続き上必要なミニマムなしごとをするぐらい。

(中略)

この辺、いったい何がどう違うんだろう?と思って見てみると、これがもうびっくり。ほとんど僕が長い間つとめてきた経営コンサルティングファームで行われている仕事のやり方とほとんど同じなのだ。(中略)

特徴的なところを挙げてみる。
(タイトルのみ抜粋)
1. まずイシューありき
2. 仮説ドリブン
3. アウトプットドリブン
4. メッセージドリブン

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これ、以前指導を受けたK先生のやり方そのもの。
最初に最後のFigの実験をして、その論文の結論を出してしまう。

Questionの設定は、これと別の「発想」のレベルで行う必要があるけどね。

CDBと京大の天才な面々

暫く休止していたが、形を変えて再開。

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4月からCDBに移籍することになった。ちょうどタイムリーな記事が。


<ひと脈々:先端医療の梁山泊> 「再生」の頭脳、神戸・京都に結集

より、引用。

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失われた体の機能の復元を目指す再生医療。新型万能細胞(iPS細胞)を発明した京都大教授の山中伸弥に注目が集まるが、神戸市の理化学研究所や京大再生医科学研究所にも世界をリードする研究者が数多くいる。大胆な改革でつくり出した研究環境が世界の俊英を引き付ける。

★研究者同士は対等


竹市雅俊・理研CDBセンター長
竹市雅俊・理研CDBセンター長
「欧米では当たり前のことだ」。ポートアイランドにある理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)。センター長の竹市雅俊はクールに話す。

CDBは2000年に発足。採用した研究者はCDBでの研究に専念させる。最新の設備をそろえ、必要な予算も与える。日本の大学は序列が今なお存在し、有 能な芽を生かせていない。CDBでは、研究者同士は対等だ。研究室を率いるチームリーダーは年齢や国籍を問わず公募する。

その代わり任 期は最長10年に限った。その間、海外の研究者を含めた外部評価委員から成果を厳しく問われる。自由な雰囲気と環境にあこがれる俊英からの応募が絶えな い。09年に38歳の若さで母校・京大の教授になった斎藤通紀は留学先の英国から大学に戻らず、CDBの門をたたいて飛躍した。斎藤は「設備が整い、よい 研究をしようと高め合う気持ちも強い」と応募した理由を語る。

元京大教授の竹市は生物の体で細胞同士をくっつける接着剤となるたんぱく質を発見し、世界的に有名だ。目の水晶体と網膜が再生する謎を追い求めた発生学のカリスマ、京大名誉教授・岡田節人の弟子。信じた道を究め、他人を後追いしないという気概を師からたたき込まれた。

その竹市を支えるのが、ともに副センター長を務める西川伸一と相沢慎一。それぞれ、京大、熊本大の教授から移ってきた。国の科学技術会議議員だった井村裕 夫(元京大総長)とともにCDB創設の立役者だ。センター長に竹市を据える人事戦略でも活躍した。トップ人事は研究所の格や質を左右する。実績に加え、高 い識見も持つ「竹市でなければ世界に情報が発信できない」というのが共通認識だった。

政府には当初、CDBは再生医療の応用に軸足を置くべきだとの意見が根強くあった。「発生の基本を理解する基礎研究に注力しないと世界に通用する成果は得られない」が竹市の持論。このため最初は断った。

さらに施設を茨城県つくば市と分割する案も浮上、竹市は固辞の姿勢を強める。分割では総合力を発揮できず、世界有数の研究所づくりの支障になると西川らは 焦った。「すべて任せる。世界トップの研究所にしてほしい」と井村を中心に何度も足を運び、竹市を口説き落とした。結局、神戸市などの踏ん張りもあって分 割案は消え、内外から人材が集まる拠点となった。

★若手の発掘にも力

竹市らは若手の発掘にも力を入れる。03年にチームリーダーになった上田泰己は当時27歳。しかも東大の大学院生だった。逸材との評判を聞いてCDBのセミナーに呼び、実力を確認。他の研究機関に先手を打って獲得した。

上田は動物の生体リズムを作り出す「体内時計」の謎に細胞実験とコンピューター解析を駆使して迫る。昨年は気鋭の若手研究者に贈られる日本IBM科学賞も受けた。「開放的な神戸の街は肌に合う。研究も進めやすい」と上田は笑う。

30歳代でグループディレクターになった笹井芳樹も元京大教授。元祖万能細胞のヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)から脳神経を作る研究などで世界をリードする。兵庫県出身で阪神大震災時は米国にいた。「地元に貢献したい」という気持ちは人一倍強い。

★「世界に先行する」

研究所運営について西川らには京大での成功体験があった。1998年に旗揚げした再生医科学研究所がそれ。95年ころ結核対策を担ってきた胸部疾患研究所 の再編問題が浮上。井村と医学部の本庶佑、菊池晴彦、西川らは「次の30年は再生医科学の時代」と、新たな研究所をつくろうとした。


中辻憲夫・京大物質-細胞統合システム拠点長
中辻憲夫・京大物質-細胞統合システム拠点長
  だが再編過程では不協和音も出た。本庶は医学部長を菊池から引き継ぐ際、「ちゅうちょせず大胆な改革をやるべし」と言われた。笹井は「がれき化した街の市 長になった感じ」だったが「世界に先行するという思いもあった」。この先見の明が山中のiPS細胞発明の呼び水になった。

 再生研はES細胞株を国内で唯一作製した。作ったのは教授として呼ばれた中辻憲夫。98年に米でヒトES細胞株が樹立され「日本でもいち早く作る必要があった。引き受けたのは研究者の使命」と言う。

  京大理学部の出身で欧米で修行し、国立遺伝学研究所(静岡県三島市)の教授になった。再生研から声がかかった時、新しい研究施設を立ち上げたばかり。だが 医学、生物学、工学の融合をうたう再生研の志に共鳴した。ES細胞で培った技術は再生医療でも基礎になる。第2代所長に就任すると異分野融合を強力に推進 した。今は世界トップを目指す「京大物質―細胞統合システム拠点」の拠点長として力を振るう。

 拠点の下には08年、山中率いるiPS細 胞研究センターも発足。4月からはiPS細胞研究所に格上げされる。足の細胞から作ったシートを重症心不全患者の心臓に張り、退院できるまで回復させた大 阪大の澤芳樹も客員教授に就いた。大学の枠を越え、iPS細胞を使った再生医療の実現に執念を燃やす。

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みんなすごいなあ。小さい論文がすんなり通ったからって、浮かれてる場合じゃないね。
頭使わないと。