組織の透明化には、1) 光散乱因子(主に脂質)の除去、2) 脱水と高屈折率試薬への置換(屈折率の均一化)、3) 色素の脱色(光散乱因子の除去)の3つの要素が重要です。特に2)は必須で、1) 3) だけでは透明にはなりません。また、1) 3)は高度な透明化の達成には重要ですが、一方で組織のintegrityへの影響(これも程度問題でなかなか議論が難しいですが)は相対的に大きくなります。
理化学研究所の今井先生たちが開発している透明化プロトコル’SeeDB’は、ほぼ屈折率調整のみの透明化手法で、組織のintegrityへの影響を極力抑えたものとなっています。2013年にフルクトースを主成分とする透明化試薬の報告[Ke et al, Nature Neuroscience 2013]をされていましたが、今日、新たにSeeDB2のリリースが発表されていました。
シナプスの微細構造まで鮮明に
-高屈折率の改良型透明化液で深部超解像イメージングを実現-
使用されているiohexolは、以前RIMS [Yang, Cell 2014] でも報告された屈折率調整剤(もともと造影剤)ですが、溶解バッファーにTris-EDATを採用し最適化を図っています。
また、透明化だけではなく、immersion oil, カバーガラス、サンプルを含む観察系マテリアルの屈折率を均一にし最適化しています。
impressive imaging over 100 µm depth with optimized clearing and @zeiss_micro Airyscan https://t.co/KoESOXvDLb pic.twitter.com/WYykC7sBvg— Christophe Leterrier (@christlet) 2016年3月10日
100umという厚さで超解像イメージを撮像。スパインの構造まで鮮明に見えています。
超解像ミクロイメージングもvolume imageが容易に取れるようになってきそうです。
Reference:
Ke et al.
Super-Resolution Mapping of Neuronal Circuitry With an Index-Optimized Clearing Agent.
Cell Reports (2016). Published Online ahead of print
Ke et al.
SeeDB: a simple and morphology-preserving optical clearing agent for neuronal circuit reconstruction
Nature Neuroscience 16, 1154–1161 (2013)
Yang et al.
Single-cell phenotyping within transparent intact tissue through whole-body clearing.
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